「築何年までなら中古戸建として売れますか?」
不動産売却のご相談の中でも、非常によく聞かれる質問です。
結論から言うと、築年数だけで一概に判断することはできません。
一般的に、昭和56年(1981年)以前に建築された旧耐震基準の木造住宅は、中古戸建としての売却依頼を受けるケースは多くありません。
では、新耐震基準であれば必ず戸建として売れるのかというと、実はそうとも限りません。
私の経験則になりますが、築40年前後(現在でいうと昭和60年頃築)の木造住宅の場合、
- 建物全体の状態が良い → 中古戸建として売却
- 傾きがある、内外装のフルリフォームが前提 → 土地として売却
このような判断基準でご説明することが多いです。
最終的にどちらの種別で売却するかを決めるのはご所有者様ですが、
その判断において重要なのが、手取り金額を含めた資金計画です。
今回は分かりやすく、
「中古戸建として2,000万円で売却する場合」と「土地として2,000万円で売却する場合」
それぞれの手取り金額を比較してみます。
前提条件
- 土地:100㎡(整形地)
- 建物:木造2階建
- 住宅ローン残債なし
- アスベストなし
- 一部境界不明(確定測量実施)
中古戸建として2,000万円で売却するケース
- 売却価格:2,000万円
- 仲介手数料:726,000円
- 印紙代:10,000円
- 確定測量費用:500,000円
=手取り金額:18,764,000円
築40年が経過しているため、建物価値は実質ゼロと考え、土地値での売却となります。
そのため、設備の不具合はもちろん、雨漏り・白蟻被害・建物の傾きなどについても、契約不適合責任を免責とするケースが一般的です。
この条件であれば、追加費用が発生しにくく、
上記の手取り金額がほぼ確定と考えて差し支えありません。
土地として2,000万円で売却するケース
- 売却価格:2,000万円
- 仲介手数料:726,000円
- 印紙代:10,000円
- 確定測量費用:500,000円
- 建物解体費用:1,500,000円
- 地中埋設物撤去費用:500,000円
=手取り金額:16,764,000円
既存建物の状態が悪く、買主が新築を建てる前提となるため、
解体費用は売主負担としました。
個人名義の土地売買では、地中埋設物について契約不適合責任を免責とすることも可能ですが、市場で流通している多くの土地では、免責としないケースが主流です。
私自身も、土地売却における全面免責はあまりおすすめしていません。
戸建の場合は、買主が建物内部を確認したうえで購入するため、ある程度は買主責任と考える余地があります。
一方、土地の場合は内部を確認する手段がなく、もし大量のガラや廃材が出てきた場合、買主としては「売主は知っていたのではないか」と不信感を抱きやすいからです。
建物の状態次第で、手取りは数百万円変わる
今回の例では、
建物の状態によって手取り金額に約200万円の差が生じています。
築40年を例にしましたが、実際には築30年程度でも土地として売却されるケースは珍しくありません。
大切なのは築年数ではなく、建物のコンディションです。
築年数が相当経過していても、住まいを探している方が「この家に住みたい」と感じる状態であれば、中古戸建として十分に販売可能です。
「古いから」と先に解体してしまう前に、今ある建物の価値を一度、客観的に見つめ直してみることをおすすめします。
八潮市で不動産売却についてお悩みの方は、
ぜひお気軽にご相談ください。



