こんにちは!
三共コスモスの南出です。
所有している不動産を売却した際に利用できる制度として、ご自宅を売却した時は『居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例』、相続した空き家を売却した時には『被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例』があります。
今回は、後者の相続不動産の控除特例について解説していきます。
下記の構成で書いています。
『何がいくら控除されるのか』
『対象となる空き家について』
『特例を受けるための要件について』
『①相続から3年以内に売る』
『②相続から売却までの間は利用・運用をしない』
『③身内に売却しない』
『④売却価格が1億円以内』
『⑤建物を取り壊すか耐震補強する』
『翌年に確定申告をして完了』
『最後に』
マイホームの場合はご自身で購入されているので権利証や契約書はお手元に保されていると思いますが、相続不動産の場合は契約書が見当たらないというケースが多いです。
昭和の契約書ですと複写式の薄紙一枚だけという事もあり、余計分かりづらいですよね。
空き家特例を利用できれば数百万円の節税になる可能性があります。
ご興味のある方はぜひ最後までお読み頂けると嬉しいです。
何がいくら控除されるのか
空き家特例は、相続した不動産を売却した時にかかる『譲渡所得』に対しての控除です。
下記、譲渡所得の計算式です。
譲渡所得= 売却価格 ー(取得費+譲渡費用)
取得費とは、売却した不動産の購入価格とその諸経費のことです。
譲渡費用は、売却にかかった仲介手数料と印紙代等です。
購入当時の売買契約書が無い場合、売却価格の5%が取得費になります。
相続空き家の土地の購入代金が売却価格より高く、購入時の売買契約書がお手元にあれば、譲渡所得税はかからないため空き家特例を利用する必要はありません。
上記以外の場合、空き家特例を利用できるようであれば節税できる可能性があります。
控除される額は、相続人1名あたり上限3,000万円です。
相続人が3名以上の場合、上限2,000万円です。
上記の式の譲渡所得から控除されます。
遺産分割協議で代表者1名を相続人とし、売却後に3名以上で分割する場合、後者です。
次に、本件でいう『空き家』とは何かについて解説していきます。
対象となる空き家について
空き家特例の対象になる条件は下記3点です。
1. 昭和56年5月31日以前に建築された建物
2. 区分所有建物登記がされていない事
3. 相続開始直前の時に被相続人が一人で居住していた事
1.2は登記事項証明書を取得して確認できます。
区分所有については、マンションだけでなく、区分所有登記をしている二世帯住宅なども該当します。
登記事項証明書は、相続登記が完了した際に司法書士から受け取った権利証と一緒に入っていると思います。
無い場合、相続不動産を管轄している法務局から取得できます。
3については、要介護認定等を受けて老人ホーム等に入所している場合等の特定事由があれば適用されます。
次の項目から、空き家特例を受けるための要件を解説していきます。
特例を受けるための要件について
空き家特例を受けるための要件は5つです。
①相続から3年以内に売却する
②相続から売却までの間は利用・運用をしない
③身内に売却しない
④売却価格が1億円以内である
⑤建物を取り壊すまたは耐震補強をする
一見大変そうにみえますが、そうでもありません。
次の項目で、①から順番に解説していきます。
①相続から3年以内に売却する
厳密には、相続した日から3年後の年の12月31日までです。
令和4年4月1日に相続した人は、令和7年12月31日までに売却すれば適用されますね。
ただし、空き家特例自体が令和9年12月31日の売却までしか対応しません。
ですので、現状では令和7年に相続した人は令和9年12月末までに売却を完了させる必要がる点にはご注意ください。
本記事の『売却』は、売買契約ではなく所有権の移転を指している点も合わせてご注意ください。
②相続から売却までの間は利用・運用をしない
相続してから誰かに賃貸したり、ご自分が住んだりしてはいけません。
空き家特例を利用する際、八潮市では所定の窓口で『被相続人居住用家屋等確認書』の発行を受ける必要があります。
もし不正が発覚すると、上記の確認書が発行されず、空き家特例が利用できなくなりますのでお気をつけください。
③身内に売却しない
大きく身内と書きましたが、
『親子』『夫婦』『生計を一にする親族』『家屋を売った後その売った家屋で同居する親族』『内縁関係にある人』『特殊な関係のある法人』
上記に該当する人への売却では空き家特例を適用できないようです。
売却価格の調整が容易だからだと思います。
不動産会社に売却を依頼すれば問題ないですね。
④売却価格が1億円以内である
八潮市では1億円を超える事は考えづらいですが、都心部ではネックになりそうですね。
建物が建つ一体の土地を分割して売却した場合、その合計売却額が1億円を超えると適用されなくなるようです。
八潮市で起こり得るとしたら、駅チカで100坪以上または駅から離れていても200坪以上の敷地の場合でしょうか。
⑤建物を取り壊すまたは耐震補強をする
相続した方の責任と負担で建物を解体または耐震補強をして売却するか、購入した方が購入年の翌年2月15日までに建物の解体または耐震補強をする必要があります。
購入した方が解体または耐震補強をする場合、売買契約書にその旨特約を入れる等工夫が必要です。
ただし、後者の場合は購入した方が規定の耐震補強をしない場合や引渡しが年末で期日に間に合わない等のリスクが生じますのでお気をつけください。
翌年に確定申告をして完了
売却手続きが完了したら、当該不動産のある市区町村で『被相続人居住用家屋等確認書』を発行してもらう手続きをします。
・被相続人の住民票の除票
・相続人の住民票
・売買契約書(コピー)
・建物の閉鎖謄本
・依頼した不動産会社作成の販売図面
・現地の解体後写真
上記書類が必要になると思います。
上記を揃えて確認書の交付を受けたら、翌年の2~3月に確定申告をしてすべて完了です。
最後に
空き家特例の要件などについて書かせて頂きました。
お住まいが相続物件から離れていると、役所が発行する確認書を取得するのが大変だと思います。
役所によって違うかもしれませんが、申請書類の提出のみであれば第三者が行えるはずです。
不動産会社の人に相談してみるのも良いと思います。
私が今までお手伝いさせて頂いたものは、すべて土地として売却しています。
上記リスクもある事から、引渡し前までに更地にしていただいています。
耐震補強については、建物の再建築ができない物件の際に利用できそうですね。
相続した不動産が八潮・草加エリアでしたら、私にお任せください。
適正価格で、かつご負担を最小限にできるようお手伝いをさせていただきます。
お問合せを心待ちにしております。