転勤で住まなくなった家を貸している、相続した実家を貸したままになっているなど、人に貸している家を売りたいというご相談は少なくありません。
入居者がいる家は、空き家とは売り方が違い、価格の決まり方や手続きにも注意が必要です。
貸している家の売り方は、大きく分けて2つあります。
入居者がいるまま売る方法と、退去してもらってから売る方法です。
この記事では、それぞれの違いと進め方、入居者への伝え方を、八潮市で不動産仲介・買取を行う当社の立場から解説します。
貸している家の売り方は2つ
最初に、2つの売り方の違いを表で確認しておきましょう。
| 入居者がいるまま売る(オーナーチェンジ) | 退去してから売る | |
|---|---|---|
| 主な買い手 | 家賃収入を目的にする投資家 | 自分で住む家を探している人 |
| 価格の決まり方 | 家賃と利回りで決まる | まわりの相場で決まる |
| 価格の傾向 | 空き家で売るより低くなりやすい | 相場に近い価格をねらえる |
| 売れるまでの家賃 | 入り続ける | 退去後は入らない |
| 室内の見学 | できないことが多い | 自由に見てもらえる |
| 入居者との関係 | 契約はそのまま買主に引き継がれる | 退去をお願いする必要がある |
どちらが良いかは、入居者の契約の内容や、どれくらいの期間で売りたいか、手元にいくら残したいかで変わります。
入居者がいるまま売る(オーナーチェンジ)
入居者がいるまま、貸主だけが入れ替わる売り方を「オーナーチェンジ」と呼びます。
入居者は、これまでどおりの契約で住み続け、家賃の支払い先が新しい所有者に変わります。
価格は家賃と利回りで決まる
オーナーチェンジの買い手は、主に投資家です。
投資家は、家賃収入に対して価格が高いか安いかで判断します。
その目安になるのが利回りです。
利回りは、1年間の家賃を価格で割った割合のことです。
たとえば、家賃が月8万円の一戸建てなら、1年間の家賃は96万円です。
買い手が利回り8%を求める場合、価格は96万円÷0.08で1,200万円が目安になります。
同じ家を空き家で売れば、まわりの相場で1,800万円になる地域なら、オーナーチェンジのほうが価格が低くなります。
一方で、家賃が相場より高めで、入居者が長く住んでいる家は、投資家から見て魅力があり、高く評価されることもあります。
敷金と家賃は、売買のときに精算する
家を売ると、貸主の立場は自動的に買主に移ります。
入居者から預かっている敷金を返す義務も、買主に引き継がれます。
そのため、売買の決済のときには、預かっている敷金の分を売買代金から差し引くなどして、売主と買主の間で精算するのが一般的です。
その月の家賃も、引き渡しの日を境に日割りで分けます。
あわせて、次のような書類を買主に引き継ぎます。
- 賃貸借契約書(更新の書類も含めて)
- 入居者の連絡先や、家賃の入金の記録
- 管理会社に任せている場合は、管理委託契約の内容
- これまでの修繕の記録
契約書が見つからない、家賃の滞納がある、といった場合は、売り出す前に整理しておきましょう。
買い手が判断しにくくなり、価格にも影響します。
入居者への伝え方
オーナーチェンジでは、入居者の同意がなくても家を売ることができます。
とはいえ、入居者にとっては、ある日突然貸主が変わることになります。
売買が決まったら、売主と買主の連名で「貸主が変わったこと」「新しい家賃の振込先」を書面でお知らせするのが一般的です。
家賃が間違った口座に振り込まれないよう、変わる月をはっきり伝えることが大切です。
退去してから売る
自分で住む人に向けて売りたい場合は、入居者に退去してもらってから売ります。
空き家として売り出せるので、室内を自由に見てもらえ、まわりの相場に近い価格をねらえます。
貸主の都合で、すぐに出てもらうことは難しい
注意したいのは、一般的な賃貸借契約(普通借家契約)では、貸主の都合だけで入居者に出てもらうことは簡単ではない点です。
貸主から契約を終わらせるには、法律で「正当な理由」が必要とされ、家を売りたいという理由だけでは認められにくいのが実情です。
退去をお願いする場合は、入居者と話し合い、引っ越し費用などを含めた立退料をお支払いして合意してもらうのが一般的です。
いつまでに退去してもらえるかがはっきりしないと、売り出しの時期も決められません。
定期借家契約なら、期間が来れば終わる
入居者との契約が定期借家契約なら、期間が来たときに契約が終わります。
期間満了に合わせて売り出しの準備をすれば、空き家として売ることができます。
ただし、定期借家契約が正しく結ばれていないと、普通借家契約として扱われることがあります。
契約書と、契約のときに渡した説明の書面がそろっているかを確認しておきましょう。
入居者が自分から退去するのを待つ
急いで売る必要がなければ、入居者が自分から退去するのを待ち、退去したところで売り出す方法もあります。
入居者が引っ越しを考えているかどうかは、管理会社を通じてそれとなく聞いてみることもできます。
なお、退去を待つ間に新しい入居者を募集しないようにしておきましょう。
次の人が入ると、また同じことの繰り返しになってしまいます。
入居者に買ってもらうという方法も
入居者が、今住んでいる家を気に入っていて、買いたいと考えていることもあります。
入居者が買主になれば、引っ越しも立ち退きも必要なく、売主と買主の双方にとって負担の少ない売り方です。
長く住んでいる入居者がいる場合は、売り出す前に、管理会社を通じて購入の意向を聞いてみるのも一つの方法です。
住宅ローンを使う場合は、通常の売買と同じように事前審査から進めます。
売る前に確かめておきたいこと
どの売り方を選ぶにしても、次のことを先に確かめておくと、話が早く進みます。
- 賃貸借契約の種類(普通借家か定期借家か)と、契約期間・更新の時期
- 今の家賃と、預かっている敷金の金額
- 家賃の滞納や、入居者とのトラブルがないか
- 建物の傷みや、近いうちに必要な修繕
- 住宅ローンが残っている場合は、その残高
税金のことは早めに確認を
家を売って利益が出ると、税金がかかります。
もともと自分が住んでいた家を、転勤などで貸している場合は、住まなくなってから3年目の年末までに売ると、居住用の特例が使えることがあります。
相続した実家を相続後に貸している場合は、空き家の3,000万円控除は使えません。
どの特例が使えるかで、手元に残るお金が大きく変わることもあります。
詳しくは、税理士や税務署にご確認ください。
相続した家を、これから貸すか売るかで迷っている方は、グループの南出行政書士事務所のコラム「相続した家を貸すときの注意点」もあわせてご覧ください。
よくあるご質問
入居者に内緒で売ることはできますか?
売ること自体に入居者の同意は要りませんが、オーナーチェンジでも室内の状況の確認や、引き渡し後のお知らせで入居者に関わることになります。
隠して進めるより、管理会社を通じて丁寧に伝えるほうが、後のトラブルを防げます。
室内を見られないと、買い手はつきますか?
オーナーチェンジでは、入居中の室内を見られないのが一般的です。
そのため、入居前の写真や修繕の記録、外観や周辺の様子で判断してもらうことになります。
記録が残っているほど、買い手は安心して判断できます。
空室になってから売るのと、どちらが得ですか?
入居者が近いうちに退去する予定なら、空室になってから売るほうが、価格は高くなりやすいです。
ただ、退去を待つ間は家賃が入らず、空き家の管理も必要になります。
売り出す時期と手元に残るお金を、両方の場合で比べてから決めるのがおすすめです。
まとめ
- 貸している家は、入居者がいるまま売る(オーナーチェンジ)か、退去してから売るかを選ぶ
- オーナーチェンジは投資家が買い手で、価格は家賃と利回りで決まる
- 売ると貸主の立場と敷金を返す義務は買主に移る。敷金と家賃は決済のときに精算する
- 普通借家契約では、貸主の都合だけで出てもらうのは難しい。退去は話し合いと立退料が基本
- 定期借家契約なら、期間満了に合わせて売り出せる
- 入居者に買ってもらう方法もある
貸している家の売却は、入居者との関係や契約の内容によって、進め方が変わります。
どの売り方が合っているか、まずは契約書を手元に置いてご相談ください。
三共コスモスにご相談ください
三共コスモスは、1990年の設立から八潮市で36年、不動産の売買と賃貸の管理に携わってきた地元の不動産会社です。
貸している家の売却も、契約内容の確認から、売り方の比較、入居者へのお知らせまで、一緒に進めます。
- 賃貸借契約書を拝見して、どの売り方が合っているかをご説明します
- オーナーチェンジの場合と、退去してから売る場合の価格の目安を、両方お出しします
- 退去を待つ間の空き家の管理や、新しい入居者を入れない段取りもご相談いただけます
- 早く現金化したい場合は、直接買取もご提案できます
売り方ごとの手元に残るお金の違いは「手元に残るお金で比べると?」で、地域ごとの相場は「八潮市の売却相場チェック」でご覧いただけます。
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